五代琴
銘『洗凡』



 
仲尼式琴。五代の製(とされるが、唐でもなく宋琴だろう)。全長124.5cm、弦の長さ116.5cm、肩の広さ19cm、尾の広さ13cm、額の巾18.5cm、額の長さ5cm。桐製。漆は黒色で全体に蛇腹の断紋が見られる。徽は金製、軫は象牙。龍池鳳池ともに長方形をなす。龍池の上に『洗凡』と行書で琴名が刻される。金象眼(かなり時代が下った刻と思われる)。その下に篆書で『一聲長嘯海天秋』とある。龍池の下には『落松仙嘯、秋壑無聲、掾石方元珍銘』とある。


『中国古琴珍賞』は人民音楽出版社1995年9月刊、李伯琴、黄旭升、黄禮儀編著による古琴写真集である。東洋琴學研究所の顧問、許健氏が「歴代人士對古琴的珍賞」という文を寄せているが、巻頭写真に編著者の実母の写真と実姉、本人の弾琴写真を掲げ私的出版の様相が強い。しかし名琴が勢ぞろいした豪華本である。資料的価値は非常に高いといえる。ただ惜しむらくはスチール弦を張った名琴と、後半部の編著者が制作した琴である。編著者は歴代の琴式に則って作らせたようだが、あの優美にして高雅な琴の形態美学を全く無視しているように思われてならない。また編著者の作ではないが骨でできた琴や琴机にいたってはその感覚に対し恐ろしさを覚える。それにしても千年もの時間を生き抜いた美しい琴にスチール弦とはなんとも痛ましいかぎりである。





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