『中国古琴珍賞』は人民音楽出版社1995年9月刊、李伯琴、黄旭升、黄禮儀編著による古琴写真集である。東洋琴學研究所の顧問、許健氏が「歴代人士對古琴的珍賞」という文を寄せているが、巻頭写真に編著者の実母の写真と実姉、本人の弾琴写真を掲げ私的出版の様相が強い。しかし名琴が勢ぞろいした豪華本である。資料的価値は非常に高いといえる。ただ惜しむらくはスチール弦を張った名琴と、後半部の編著者が制作した琴である。編著者は歴代の琴式に則って作らせたようだが、あの優美にして高雅な琴の形態美学を全く無視しているように思われてならない。また編著者の作ではないが骨でできた琴や琴机にいたってはその感覚に対し恐ろしさを覚える。それにしても千年もの時間を生き抜いた美しい琴にスチール弦とはなんとも痛ましいかぎりである。