琴曲「楚歌」彈奏

『神奇祕譜』張世彬訂譜 



  伏見无家 打譜(2004年8月25日) 楚歌(MP3)(4.1MB)
 


烏江



項王の軍垓下に壁す。兵少なく食尽く。漢軍及び諸侯の兵、之を囲むこと数重なり。 夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き、項王乃ち大いに驚きて曰はく、「漢皆已に楚を得たるか。是れ何ぞ楚人の多きや」と。項王則ち夜起ちて帳中に飲す。美人有り、名は虞。常に幸せられて従ふ。駿馬あり、名は騅。常に之に騎る。 是に於いて、項王乃ち悲歌コウ慨し、自ら詩を為りて曰はく、「力は山を抜き 気は世を蓋ふ 時利あらず 騅逝かず 騅逝かざるを奈何すべき 虞や 虞や 若を奈何せん」と。歌ふこと数ケツ、美人之に和す。項王泣数行下る。 左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。
 是に於いて項王乃ち東して烏江を渡らんと欲す。烏江の亭長、船を・(ギ)して待つ。 項王に謂ひて曰はく、「江東小なりと雖も、地は方千里、衆は数十万人、亦王たるに足るなり。願はくは大王急ぎ渡れ。今独り臣のみ船有り。漢軍至るも以て渡る無からん。」と。項王笑ひて曰はく、「天の我を亡ぼす。我何ぞ渡ることを為さん。 且つ籍江東の子弟八千人と、江を渡りて西す。今一人の還るもの無し。縦ひ江東の父兄憐れみて我を王とすとも、我何の面目ありてか之に見えん。縦ひ彼言はずとも、籍独り心に愧ぢざらんや。」と。 乃ち亭長に謂ひて曰はく、「吾公の長者たるを知る。吾此の馬に騎すること五歳、 当たる所敵無し。嘗て一日に行くこと千里。之を殺すに忍びず。以て公に賜はん」と。乃ち騎をして皆馬を下りて歩行せしめ、短兵を持して接戦す。 独り項王の殺す所の漢軍、数百人なり。項王の身も亦十余創を被る。顧みて漢の騎司馬呂馬童を見て曰はく、「若は吾が故人に非ずや。」と。馬童之に面し、王翳に指さして曰はく、「此れ項王なり。」と。項王乃ち曰はく、「吾聞く漢我が頭を千金・邑万戸に購ふと。吾若の為に徳せん。」と。 乃ち自刎して死す。
『史記』項羽本紀巻七


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